2008年2月20日水曜日

『ジョウント』のネタ本、復刊!

虎よ、虎よ!
スティーヴン・キングの短編『ジョウント』の「意外と長いよ、パパ! 意外と長い!」という箇所は、キング作品の中でも最も記憶に残る場面の一つですが、その『ジョウント』のネタ元はアルフレッド・ベスター著『虎よ、虎よ!(原題:Tiger! Tiger!)』です。この作品のことは『ジョウント』内でも言及されています。


『虎よ、虎よ!』はしばらく絶版でしたが、早川書房が復刊を決めました。ハヤカワ・オンラインから紹介文を引用します。
夢枕獏氏、大友克洋氏推薦! 顔に刺青をされた男の、絢爛たる復讐の物語。イラスト/寺田克也
“ジョウント”と呼ばれるテレポーテイションにより、世界は大きく変貌した。一瞬のうちに、人びとが自由にどこへでも行けるようになったとき、それは富と窃盗、収奪と劫略、怖るべき惑星間戦争をもたらしたのだ! この物情騒然たる25世紀を背景として、顔に異様な虎の刺青をされた野生の男ガリヴァー・フォイルの、無限の時空をまたにかけた絢爛たる〈ヴォーガ〉復讐の物語が、ここに始まる……鬼才が放つ不朽の名作!

『虎よ、虎よ!』-ハヤカワ・オンライン


<ヴォーガ>は宇宙船の名前です。わたしは世界SF全集で一度読んだことがあるだけですが、『虎よ、虎よ!』はあまり面白くないです。もしかするとスティーヴン・キングファンの場合は特にそう感じるかもしれません。その理由は『虎よ、虎よ!』には語ることの上手さがないと感じられるから。SFの歴史のなかでは、ベスターが『虎よ、虎よ!』のような作品を書いたことを評価されるべきなのかもしれませんが。


ただし、『虎よ、虎よ!』冒頭のジョウントの発見のところでは、キングの『ジョウント』を読んだなら、ニヤニヤして楽しんで読めます(ここでどうしても期待度が上がるから後半が面白くないのかも)。オススメするには924円というのは少し高いです。図書館を利用しましょう。

Amazon.co.jp:アルフレッド・ベスター著虎よ、虎よ!



ちなみに近日公開の映画『ジャンパー』の主人公が瞬間移動の能力を獲得するところは、『虎よ、虎よ!』でジョウント効果が発見されるところにそっくり(だったと思う、だいぶ前に読んだから不確かです)。

2008年2月23日追記 スティーヴン・キング研究序説 ココログ分室:「ジョウント」をめぐる冒険もどうぞ。

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